「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 彼女は、かなり警戒している様子だ。ベビーベッドで眠る小さな命が、彼女にそうさせているのだろう。
 その様に、私は自分の心配が杞憂であったことを理解する。彼女は間違いなく、自分の子供を愛しているのだ。それだけは間違いない。

「……それで、お二人はこの子をどうされるおつもりなのですか?」
「それに関しては、あなたの話を聞かないと判断することはできませんね。兄上から話は聞きましたが、あなたの口から話を聞くべきだと俺は思っています」
「クルレイド殿下、あなたがそう望んでいるというなら、私はいくらでも話しましょう。ただ最初に言っておきたいことがあります」

 ランカーソン伯爵夫人は、とても真剣な顔をしていた。
 彼女のそのような顔を見るのは、初めてかもしれない。それだけ夫人の子供に対する愛は、深いということなのだろう。