「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「クルレイド様、正直に言わせていただくと、もう少しお忍びの頻度を下げていただけるとありがたいのですが……」
「いや、民の様子を見るのも王族の務めだろう」
「確かにそれは必要なことですが、あなたが出歩くことがどれだけ危険であるかも理解していただきたい」
「それは、そうなのかもしれないが……」

 若い男性と老齢の男性からそれぞれ攻められて、クルレイド様は二人からゆっくりと目をそらした。一応彼も、申し訳なさなどはあるのだろう。
 ただ、それでも彼はお出掛けを続けている。ということは、彼なりにそれが必要なことだと思っているのだろう。

「まあ、今は細かいことはどうでもいいじゃないか。ロンダーとレミアナ嬢もいるんだし、そういう小言はよしてくれ」
「そうですね。お客様もいることだし、この話は後日致しましょう」
「後日するのか?」
「もちろんですとも」