「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 私とクルレイド様は、王城に来ていた。
 私達の目の前には、王になったギルドルア様がいる。
 彼は目を瞑り、何かを考えている。その癖は、今でも変わっていないようだ。

「……さて、まずは二人に感謝を述べておくべきだろう。遠路遥々来てくれてありがとう」
「いえ、兄上、お気になさらないでください。そんなことより、一体何があったんです? 用件も明かさずに呼びつけるなんて……」
「ああ、文書に残したくないことだったからね」

 ギルドルア様は、呆気からんとした表情で、とんでもないことを言ってきた。
 それはつまり、これから伝えられることが王国の秘密であることを表している。なんというか、心して聞く必要がありそうだ。

「本当に何があったんですか?」
「ああ、先に言っておくが、これは決して薄暗い話ではない。考えようによってはめでたい話だ。だが、非常に面倒くさい話でもある」