「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「大丈夫ですよ、クルレイド様……」
「レミアナ嬢……」
「私がついていますから……」

 私は、クルレイド様の手を握りながら彼にゆっくりと言葉をかけた。
 私は真っ直ぐに、クルレイド様の目を見る。その目は少しだけ、滲んでいるような気がする。

「アルペリオ侯爵令息に捕まった時、本当に怖かったんです。彼の狂気を私は受け止め切れませんでした。でも、クルレイド様がいてくれました。あなたの目を見た時、私は大丈夫だって思うことができたんです」
「そ、そうだったんですか?」
「だから今度は、私がクルレイド様をお支えします。私では力不足かもしれませんが……」
「いえ、そんなことはありません!」

 先程まで落ち込んでいたクルレイド様は、そこで声を荒げた。
 彼の視線には力がある。それは私が、思わず少し怯んでしまう程だ。