「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 少し気になったため思いついたことを言ってみたが、それに対してクルレイド様は呆気に取られていた。
 不安に思っていないという訳ではないようだが、彼はもっと別のことを考えていたらしい。
 確かに言われてみれば、彼の表情は固すぎた。なんというか、もっと重たいことを考えているような表情だったのだ。

「……もしかして、アルペリオ侯爵令息のことを考えていましたか?」
「……」
「図星ですか」
「ええ、まあ、そうですね……」

 少し考えた結果、私はとある結論に辿り着いた。
 私を助けた後、クルレイド様とアルペリオ侯爵令息の間で交わされたやり取り。真面目な彼は、それを引きずっていたようだ。

「レミアナ嬢が止めなかったら、俺はあのまま剣を振り下ろしていました。そのつもりだったんです。俺はあの時、確かにアルペリオ侯爵令息の命を奪おうとした」
「それは……」