「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 貴族というものは、そういうものだ。彼個人の責任では済まされない。それを果たして、アルペリオ侯爵令息は本当に理解していたのだろうか。

「ただ一つ気掛かりなのは、領民のことです。私がいなくなったことによって、ランペシー侯爵家の領地はどうなるのでしょうか?」
「その辺りについては、一つ心当たりがあります」
「心当たり?」

 ギルドルア様は喋りながら、私とクルレイド様の方を向いた。それに釣られて、他の視線も集まってくる。
 つまりギルドルア様の心当たりとは、私達ということなのだろう。なんとなく話がわかってきた。

「兄上、まさか俺とレミアナ嬢にランペシー侯爵家の領地を?」
「ああ、君達なら適任だろう」
「適任って……」
「僕としても、正直その方が安心できるのさ。今の僕が信用できる人間はごくわずかだからね」