「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 私が王城にいる間に、アルペリオ侯爵令息は色々と行動を起こしていたようである。
 私にとって、それは恐ろしいことだった。知らない間に、私には危機が迫っていたのだ。

「……そこからの話は、私がしましょう」

 ランペシー侯爵の話が一区切りついてから、お父様はゆっくりとそう言葉を発した。
 お父様とロンダーは、ランペシー侯爵とともにここに来た。その事情を話してくれるということだろうか。

「ロンダーが王都から戻って来て、ランカーソン伯爵夫人に関する一連のことを聞いた私は、彼女を追い詰めるための準備を切り上げて、これからどうするべきかを思案していました。そんな時に報告が入ったのです。屋敷の周りでアルペリオ侯爵令息を目撃したという証言が」

 お父様の言葉に、私は少し驚いた。
 てっきりアルペリオ侯爵令息は、ランペシー侯爵を傷つけた足で王城まで来たものだとばかり思っていたからだ。