「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「そうでしょうか? まあ、僕も日々成長していますからね」
「レミアナ嬢も、お久し振りですね」
「ええ、お久し振りです。クルレイド様」

 私も一応、クルレイド様とは面識がある。友人の姉、彼からすれば私はそのくらいの認識であるはずだ。
 一方私からすると、彼は第二王子である。目上の人間であるため、少し緊張してしまう。

「そのようにお堅くならなくて結構ですよ。俺はそういうのは苦手ですから」
「えっと……」
「まあ、そう言っても無理ですか。俺はこれでも一応、王族である訳ですしね」

 クルレイド様は、苦笑いを浮かべていた。
 彼とこうして実際に顔を合わせるのは、随分と久し振りのことである。かつて会った時はまだ少年の面影があった彼も、すっかり立派な青年だ。
 昔はもう少しやんちゃな印象があったのだが、それが今は鳴りを潜めている。それはいい変化といえるだろう。クルレイド様は、成長したのだ。