「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「衆人環視であんなことをされたら、婚約を結ばざるを得なくなってしまう。まだエルライド侯爵から了承は得られていないというのに……」
「えっと、それは……まあ、大丈夫だと思います」
「まあ、その話は置いておくとしようか。それより今は、そこの賊をなんとかしなければならないだろう」
「そうですね」

 ギルドルア様の言葉に、クルレイド様はゆっくりと頷いた。
 二人は、項垂れているアルペリオ侯爵令息にも目を向けている。彼は動かない。すっかり放心しているらしい。
 確か彼は、以前もそのような反応をしていた。私に拒絶されると、アルペリオ侯爵令息はかなりショックを受けるらしい。

「懲りない人ですね……エルライド侯爵家の屋敷でも、私はあなたを拒絶したというのに」
「そういう所は不屈ということか。しかしレミアナ嬢、もう心配はいらないぞ? これからこの者は、牢屋の中だ。あなたを追いかけることなんてできない」