「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「なっ……!」

 アルペリオ侯爵令息は、私を見て固まっていた。
 結局の所、彼は臆病者なのだろう。今回の件で、私はそれを悟った。
 もう終わりだと思っているが、自分で死ぬ勇気もない。だから彼は、こんなことをしたのだ。
 生きることも死ぬことも諦めた彼は、ひどく中途半端である。本当に、情けない限りだ。

「……レミアナ嬢、そろそろ離れてもらってもいいですか?」
「え? あ、すみません。私、ずっと……」
「いえ、お気になさらず……」

 私とアルペリオ侯爵令息の話が終わってから、クルレイド様は少し頬を赤らめながら、そんなことを言ってきた。
 クルレイド様を止めるにあたって、私は彼に抱き着いていた。離すタイミングもなく、私はずっと彼に密着していたのである。
 後から考えてみると、それは中々に恥ずかしいことだ。段々と顔が熱を帯びていく。