「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 しばらく沈黙していたクルレイド様は、少し焦った様子でそんなことを言い始めた。
 確かに、彼の言うとおりだ。彼は剣を振り上げていたので、その後ろから抱き着くのは非常に危険なことである。

「すみません。でも、こうするしか止める方法が思い付かなくて……」
「声をかけてくれたら、止まりましたよ。いえ、まあ、確かに興奮していたことは否めませんが……」

 クルレイド様は、私から少し気まずそうに目をそらしていた。
 先程までの彼の耳に、私の言葉が入ったかは微妙な所だ。それをクルレイド様も、理解してくれたのだろう。
 ただ、私がしたことが危険な行為だったことも確かだ。それについては、本当に申し訳ないと思っている。

「ふふっ……ふはははははっ!」

 私がそんなことを思っていると、辺り一面に不快な笑い声が響いた。