「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「例え捕まっても、脱獄してレミアナの元に行ってやる! 僕は彼女を逃がさない!」
「貴様……!」

 アルペリオ侯爵令息の言葉に、クルレイド様は大きく剣を振り上げた。私のことを引き合いに出されて、堪忍袋の緒が切れたのだろう。
 それを悟った瞬間、私の体は動いていた。クルレイド様を止めなければならない。そう思ったのだ。

 私は、クルレイド様の背中に飛びついた。
 すると彼は驚いたような反応をした後、こちらを向く。

「……レミアナ嬢?」
「クルレイド様……待ってください」
「え、えっと……」

 私の言葉に、彼は振り上げていた剣をゆっくりと下に戻した。
 彼の怒りは、すっかり息をひそめている。それだけ私が抱き着いたことが、予想外だったということだろう。

「……レミアナ嬢、危ないじゃありませんか。剣を振り上げた俺の後ろから抱き着くなんて」