「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 しかし彼の動きは、すぐに止まる。彼が躊躇っていることは明らかだ。
 それを見て、アルペリオ侯爵令息は笑う。それは心底、人を馬鹿にしたような笑みだ。

「おやおや、第二王子にはそんな勇気がなかったか……」
「……なんだと?」
「僕の命を奪う覚悟が決められないんだろう? ふふ、情けない王子だ……」

 アルペリオ侯爵令息は、クルレイド様を煽っていた。
 その様子は、まるでランカーソン伯爵夫人だ。長い間一緒にいたこともあって、アルペリオ侯爵令息は彼女の影響を受けているのかもしれない。
 いや、これはどちらかというと諦めの気持ちからの煽りだろうか。どの道終わりなら、好きなように振る舞う。そんな心境なのかもしれない。

「……結局君には、覚悟がないんだろう? 君みたいな奴にはレミアナに相応しくはない! やはり彼女は僕のものだ!」
「何をっ……」