「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 しかし、私が全て同じようにできるという訳ではない。非力な私では、アルペリオ侯爵令息に力負けしかねないからだ。
 故に私は、彼を油断させる必要がある。その隙をついて、彼の拘束から抜け出すのだ。

「あなたと一緒に行きます」
「何?」
「あなたと一緒に行くと言ったんです。それがアルペリオ兄様の望みなのでしょう?」
「レミアナ……」

 私の言葉に、アルペリオ侯爵令息は驚いたような顔をしていた。
 もしかしたら、彼も私がこういう回答を返すとは思っていなかったのかもしれない。
 しかしそれは好都合だ。今彼は呆気に取られている。その隙を、私は見逃さない。

「……クルレイド様!」
「なっ……!」

 私は、すっかり力が抜けていたアルペリオ侯爵令息の腕を振り払った。