「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 そこで私は、クルレイド様が駆けつけてきた兵士を気にしていることに気付いた。
 彼の視線は、兵士が持っている剣に向けられている。それを使おうとしているということだろうか。

「……」
「……」

 さらにクルレイド様は、私にも視線を向けてきた。
 その意図は理解できる。なんとかして、隙を作って欲しいということだろう。
 私は、瞬きをしてクルレイド様に意思を伝える。失敗することは許されない。息を合わせて、アルペリオ侯爵令息の蛮行を止めるのだ。

「……アルペリオ侯爵令息」
「レミアナ? どうかしたのかい?」
「いえ……」

 アルペリオ侯爵令息に拘束されていた私は、ゆっくりとため息をついた。
 ことを実行に移すためには、覚悟がいる。私は今、その覚悟を決めたのだ。

 幸いにも、こういう時にどうすればいいのかはわかっている。ギルドルア様が、以前同じ目に合っていたからだ。