「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「えっ? あっ……!」

 そこで私は、浮き上がるような感覚に陥った。
 アルペリオ侯爵令息が、突然立ち上がって私の体を引き寄せてきたのである。
 そして私は、首元に冷たいものが当たっていることに気付いた。それはまず間違いなく、ナイフの類だ。動いてはいけない。それを理解した私は、アルペリオ侯爵令息の動きに従わざるを得なかった。

「こ、これは……うっ!」
「動くな! 動くとレミアナの命はないぞ!」

 アルペリオ侯爵令息は、私を拘束しながら周囲にそう宣言した。
 どうやら彼は、反省してここに来たという訳ではないらしい。
 それ所か、彼は何かとんでもないことをしようとしている。王城で私を拘束している時点でそれは間違いない。

「……アルペリオ侯爵令息、あなたは自分が何をやっているのかわかっているのか?」
「ふっ……」