「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 私とクルレイド様は、王城の玄関付近まで来ていた。
 そこには、見覚えがある男性がいる。少し痩せただろうか。アルペリオ侯爵令息は、私を見つけて笑顔を浮かべている。

「……レミアナ、来てくれたのか?」
「アルペリオ侯爵令息、こんな所に訪ねて来るなんて一体どういうつもりですか? 言っておきますが、私とあなたはもう無関係ですよ?」

 私の心は既に、アルペリオ侯爵令息と決別している。彼に対して感じているのは、ランペシー侯爵への義理だけだ。
 アルペリオ侯爵令息は、それを理解していないのだろうか。こうして私を訪ねて来たということは、そういうことなのかもしれない。

「……本当にすまなかった。君には、申し訳ないことをしたと思っている」
「はい?」
「僕が間違っていた。ランカーソン伯爵夫人に惑わされて、僕はひどいことをしてしまった……」
「ア、アルペリオ侯爵令息……」