「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 アルペリオ侯爵令息の訪問、それは驚くべきことである。
 何故、彼がこのタイミングで王城を訪ねて来ているのだろうか。その意図がまったくわからず、少し混乱してしまう。

「よく知らせてくれましたね、ありがとうございます……レミアナ嬢、これは一体どういうことなのでしょうか?」
「わかりません。でも用があるとしたら、私かランカーソン伯爵夫人だと思います。不本意ですが、とりあえず私が出て行ってみます」
「それなら、俺も行きますよ。アルペリオ侯爵令息は、色々な意味で警戒するべき人ですからね」
「……ええ、よろしくお願いします」

 クルレイド様は、アルペリオ侯爵令息のことをかなり警戒しているようだった。
 私の元婚約者ということもあるのだろうが、その視線がとても鋭くなっている。
 そんな彼が、私にとってはとても頼もしかった。訳がわからないアルペリオ侯爵令息の訪問に対する不安も、少し薄れたような気がする。