「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「その時からまあ、そうだったのですが」
「はい? なんですか?」

 クルレイド様は、私から目をそらしていた。
 まだ私に何か話しにくいことがあるのだろうか。初めて顔をしっかりと合わせた時、特に何かあった覚えはないのだが。
 いや、もしかしたら私がその時にあった何かを忘れているからこんな反応なのだろうか。もしもそうなら、結構気まずい。

「兄上は言いました。男子というものは年上に憧れる時期があると」
「ああ、そんなことを言っていましたね……」
「俺はある意味、ずっとその時期なのかもしれません」
「ずっとその時期……え?」

 クルレイド様の言葉に、私は固まった。
 もしかして、私は今までの間ずっと鈍感だったのだろうか。言葉の意味を考えて、私はそんなことを思った。
 目の前にいるクルレイド様は、頬を染めている。それはつまり、そういうことなのだろう。