「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 今まで我慢していたのだろうか。彼はとても楽しそうに笑っている。

「あ、兄上も人が悪いですね。こうなることをわかっていて、婚約の話を持ち掛けたのでしょう?」
「……いや、すまない。ただ、レミアナ嬢が君の婚約者として適切であるということは嘘ではない。今の状況で信じられる貴族というのは貴重だ」
「それはわかっています。わかっていますが……」

 笑うギルドルア様に対して、クルレイド様は立ち上がって抗議していた。
 どうやら、二人の間でこの状況は腑に落ちているようだ。
 しかし私からしたら溜まったものではない。二人だけで話を進められると困ってしまう。

「あの、これはどういうことなんですか?」
「レミアナ嬢、これはその……」
「何、ほんの少しの戯れさ。レミアナ嬢が気にするようなことではない」

 私の質問を、ギルドルア様ははぐらかしてきた。