「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「明言されているという訳ではないかもしれませんが、俺達も含めて全員わかっているはずですよ。王位を継ぐのは兄上だと」

 クルレイド様の言葉に、私は少しだけ頷いた。
 この国では、基本的に長男が家を継ぐ。それは王位にも適用されるものだ。
 ギルドルア様の素行なども特に問題視はされていないし、何もなければ彼が王位を継ぐはずである。それは国民も、わかっていることだ。

「僕としては、君に王位を継いでもらいたいとも思っているのだがね」
「え?」
「兄上、なんですって?」

 そんな私は、ギルドルア様の意見に思わず声を出してしまった。
 クルレイド様に王位、それはまったく考えていなかった可能性である。もちろん王位を継ぐ資格はあるが、驚くべき選択だ。

「王としての素質は、君の方があると思っている。僕という人間は、中々に汚れているからね」
「汚れている?」