「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「一方であなたは、取るに足らない存在だった。欲に塗れた一介の伯爵、それがあなただ。夫人を貴族にしたり、昔はもう少し知恵があったようだが、今のあなたに対しては微塵も敬意を感じない」

 ギルドルア様は、とても冷たい口調だった。
 それを聞いて私は理解する。夫人に対しては、まだ温情があったということを。

「もっとも、夫人を貴族の世界に引き入れたことはあなたが犯した重罪の一つだ。これに関して、僕はいささか怒りを覚えている。夫人が増長していったのは、元を辿ればあなたのせいだ。その罪も含めて、あなたには償ってもらう」
「な、なんだと……」

 夫人個人にも問題はあったとはいえ、彼女一人であったら問題はここまで大きくはならなかっただろう。
 伯爵の過ぎたる欲望によって、貴族の世界は混乱し、夫人の人生も狂ったのだ。その罪は重い。

「ふざけるな! この私がっ……」