「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「……先程のは言葉の綾だ。野心を抱いていたのは私ではない。あの女なのだ」
「ほう……」

 そこでランカーソン伯爵は、意見を一転させた。
 どうやら彼は、夫人に全ての罪を押し付けることにしたようだ。
 それはせめてもの抵抗なのだろう。首謀者でなければ、極刑にはならない。命だけは助かるのだ。

「つまり、首謀者はあくまで夫人であるとあなたは主張する訳ですか?」
「その通りだ。あの女に私は騙されていたのだ。甘言に乗せられて、計画を立案させられた。あの女こそが、全ての元凶なのだ。私は何も悪くない」
「なるほど……」

 ランカーソン伯爵の態度に、私は少し呆れていた。
 全ての責任を夫人に押し付ける。それはなんともひどい話だ。
 曲がりなりにも、彼女はずっと体を張って伯爵家に利益をもたらしてきた。そんな彼女をねぎらうような気持ちが、ランカーソン伯爵には一切ないということなのだろう。