「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「僕を責められても困ります。まんまと罠に嵌ったあなたが愚かと考えてください」
「か、勝手なことをっ……」

 ギルドルア様は、わざと夫人の神経を逆撫でているようだった。
 ただ、彼の言っていることは概ね正しい。陥れられるなんて、私達の世界ではよくあることだ。夫人はそれに対抗する準備をしていなかった。
 もちろん、王族という強敵を退けるのは難しいだろう。ただ、夫人の素行に問題がなければ、彼女がここまで追いつめられることもなかったはずである。

「そ、そうだ……わ、私が秘密を握っている人達が黙っていないわよ!」
「その秘密は、こちらも握っています。喋ったことをお忘れですか?」
「それは……」
「この状況ですから、貴族達は恐らく、秘密が漏れてもいいように努めているでしょう。双方が秘密を握っている場合、どちらの味方もできませんからね。ばれても被害を最小限に留めるということに注力するでしょう」