「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「ランカーソン伯爵家は、アンバート子爵家と懇意にしていた。その家の長女は生まれつき体が弱く、人前にほとんど出て来られなかった。そんな彼女は、ある時病で息を引き取った。その長女をランカーソン伯爵は利用したのさ」
「あ、兄上、それはまさか……」
「ああ、ルノメリアという少女にここにいる彼女は成り代わった。彼女は貴族になったのだ」

 私とクルレイド様は、ギルドルア様の言葉に固まっていた。
 平民が貴族に成り代わる。そんなことは聞いたことがない。

「ア、アンバート子爵家は、それを認めたのですか? 赤の他人を自分の娘にするなんて、普通ならあり得ないでしょう」
「その辺りに関しては、ランカーソン伯爵の手腕によるものだ。彼はアンバート子爵家を洗脳していた。親身な振りをして、彼らを支配していたのだ。実質的に、あの子爵家はランカーソン伯爵のものだ。すっかり従順な僕になってしまっているらしい」