「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 私とクルレイド様は、ギルドルア様の言葉に再び顔を見合わせることになった。
 ますます訳がわからない。一体夫人の過去に、何があったというのだろうか。

「マルセア女史、あなたから話していただけますか? 良い所で僕が引き継ぎますから」
「……あまり気は進みませんが、そうした方がよろしいのでしょうね」

 ギルドルア様に言われて、マルセアさんは私達に視線を向けてきた。
 この場で事態を理解していないのは、私達だけであるらしい。その私達のために、説明をしてくれるようだ。

「や、やめなさいっ……それを話して、何になるといいの!」
「ランカーソン伯爵夫人、あなたは少し黙っていてください」

 それに対して、夫人はひどく動揺している様子だった。
 どうやら、彼女は自分の過去を人に知られたくないと思っているらしい。