彼の言葉には、躊躇いなどはない。そうすることを当然だと思っているのだろう。
 一方で、クルレイド様は怯んでいる。やはり彼には、そういったことに対する忌避感があるようだ。
 ただ、それでも彼はギルドルア様についていくだろう。彼はそちらの方が王族として正しいと思っているのだから。

「レミアナ嬢、君もついて来るといい。ランカーソン伯爵夫人には散々煮え湯を飲まされただろう。恨み言の一つでも言ってあげるといい」
「……ついて行かせてもらいますが、別に恨み言を言うためではありません。ただ私は、この事件を最後まで見届けたいだけです」
「まあ、どちらでもいいさ。とにかく、行くとしよう」

 ギルドルア様は、私の決意表明も軽く受け流してきた。
 彼は本当に掴み所がない人だ。話していると、なんだか調子が乱される。
 幸いなのは、彼が敵ではないということだろうか。味方であるというのは正直とてもありがたいことであるような気もする。