「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 ランカーソン伯爵は、ただでさえいい印象をもたれていない。その中でそんな流れを出されたら、多くの人はそれを信じるだろう。

「兄上は、ずっとこれを狙っていたのか……あのドナテス子爵令息に夫人が粉をかけると予想して、計画を立てて……」
「……ギルドルア様は、用意周到だったようですね。聞けば、彼が夫人と関係していたのは三年間にも及ぶらしいですし、その時から夫人を狙っていた」

 私達が夫人という脅威を認識する前から、ギルドルア様は計画を進めていた。つまり、ランカーソン伯爵夫人は既に追い詰められていたのだ。
 それは、驚くべき事実ではある。ただ、全ては夫人が蒔いた種だ。彼女の自業自得なのである。