「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

 その一連の動作は、少しわざとらしいような気もする。私が偏見を持ってしまっているだけなのかもしれないが、やはりこれは仕組まれた状況なのではないだろうか。

「ギルドルア様! ご無事ですか?」
「ああ、僕は問題ない」
「申し訳ありません! 我々の不手際で……」
「気にすることはないさ。僕も無理してここまで来たからね」

 やって来た護衛らしき人達に対して、ギルドルア様は笑みを浮かべていた。
 彼は、その視線を夫人に移す。その目は鋭く彼女のことを見下ろしている。

「まさか、ギルドルア様は既に夫人を排除するために動いていたというの……」

 この状況は、ランカーソン伯爵夫人を陥れるための状況としか考えられない。
 ギルドルア様は既に動き出していたのだ。恐らく私達が動き出すよりも遥か前から。