「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

「……なんということだ」

 エルライド侯爵家の屋敷に戻ってきた私は、アルペリオ兄様から婚約破棄を告げられたことをお父様に告げていた。
 報告を聞いたお父様は、苦悶の表情を浮かべている。当然のことではあるが、かなり驚いているようだ。

「まさか、アルペリオがそんなことを言うとは……何を考えているのだ、奴は」
「私のことは、妹にしか思えないと言っていましたが」
「だから婚約を破棄すると? そんな子供じみたことが許される訳がないだろう」

 お父様は、アルペリオ兄様のわがままにかなり怒っていた。
 それも当たり前のことである。婚約破棄とは、それ程に重大なことだ。

「お父様の言う通りだと思います」
「む……すまない。お前に怒っている訳ではないのだ。少し感情が、昂ってしまった」

 私がゆっくりと頷くと、お父様は冷静さを取り戻していた。