「え…、何?なんで?」

「その方が紫衣のためだ」

「何が!?何が私のためなのっ」

「この噂が立ってから星が大人しくなった。紫衣にまた何かするんじゃないかって思ってたけどむしろこうなった方が何も起きなくなった」

淡々と分析するように教えてくれる、そこにはケイの感情は見えなくて。

「それでわかった」

「わかったって何が…?」


「星は(すい)を1人にさせたいんだよ」


だからわざと1人でいたの…?

噂を利用するみたいにみんなから離れて私からも離れようとしてるの?

「だから俺といない方がいい」

何、それ…
なんでそんなこと…

早く行かないとチャイムが鳴っちゃう、行かなきゃいけないのにそんなこと聞いたら…っ

「だけど念のためだ、四条美月と離れないようにしろよ。登下校は俺がそばにいるようにするからそれ以外は四条美月と行動するんだ」

何なのそれ、いつも上からで命令口調でいつも見てるとか全部知ってるとかこっちのことなんかお構いなしに自分勝手するくせに。

ほんとむかつくし、なんで私が言うこと聞かなきゃなんないの!?

って思うけど…


いっつも彗くんのためだよね。


いじわるに見えて優しいよね、ケイのきつい言葉の裏にはいつも優しさが隠れてる。


なのにどうしていつも自分だけは…



自分のことは考えないの?



「…ケイはいいの?それで…、家でも学校でも1人になっちゃうんだよ」

背中に呼びかける、聞いてはくれても振り返ってはくれないのはわかってた。

「俺は元々そうゆう存在だ、そこに意味があるんだから」

「そんなことっ」

「孤独で苦しんでる姿を見たいんだ!」

ケイの言葉を掻き消すようにチャイムが鳴った。

そのせいでケイが出した大声も隣のクラスには聞こえなかったと思う、聞こえていたのは私だけで。