「こんな簡単におびき寄せられるとはな、お前も変わらないな」

「…っ!」
 
柏木先輩が私の前にしゃがみ込んだ。

「最終的には力づくでどうにかなると思ってたけど、馬鹿みたいにお前ら一緒にいるからな」

一緒にいるから…?

私とケイ、のこと…を言ってるんだよね。

でも何その言い方、なんかおかしくない?
まるでいつも見てるみたいな…

「!」

にこりと柏木先輩が笑った。

でも目の奥は笑っていなくて冷たかった。

「いいとこに来てくれて良かったよ」

柏木先輩が話せば話すほど腑に落ちない疑問が生まれる、全然意図が掴めなくて。


てゆーかなんで私があそこにいたのがわかったの?


だって図書館へ行くことはケイしか知らないもん、ケイが柏木先輩に言うなんてこと…それは絶対にありえない。ケイが1番大事なのは彗くんなんだ、それは絶対にありえない。

あれ?そもそも行き先が“図書館”だってことを知ってるんだっけ?

そんなこと言ってなかったかもしれない!

彗くんが呼んでるって言われただけで、思い返せば図書館の話はしてなかった…私が勝手に思い込んじゃったんだ。じゃあこれから行く場所が図書館ってことは知らなかったかもしれない… 


てことはただ偶然歩いてる私を見付けたの?


でもいいとこに来てくれてって、待ってたみたいな… 

ううん、ずっとそこで待ってるなんてことできっこない。


じゃあどこかで見てた?

私がそこへ行くのを見計らってた…?


柏木先輩とはよく会うなぁって思ってた。

学校とか人が集まる夏祭りで会うのはわかるけど、本屋でも図書館へ行く途中は…


さすがに会い過ぎじゃないかって。


柏木先輩は私がどこにいるかわかってるの?



それってどんな能力…!?