地味子は腹黒王子に溺愛され同居中。〜学校一のイケメンが私にだけ見せる本当の顔〜










AfterStory②甘すぎる私の婚約者


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聖那さんとお付き合いすることになってから、私は幸せでいっぱいです。




どれくらいかというと、付き合う前からだったけど、付き合った後はもっと甘くなった聖那さんに困るくらい。




新生徒会メンバーが発表された翌日、私たちは恋人繋ぎをして登校した。




たくさんの人に見られてる……っ




恥ずかしくて、下を向きながら教室へ向かう。




もちろん聖那さんも一緒に。




周りから色々な視線を向けられながら教室に着く。




「あ、優羽、忘れ物」




「え?」




忘れ物なんてあったかな?




と思っていると。




ちゅ、と聖那さんにキスをされる。




「今日、してなかったでしょ?」




生徒会ちょ……いや、元生徒会長スマイルでそう言う聖那さん。




「なんっ……!?」




周りの人みんな見てるんですよ!?




それに今日してなかったって、毎日キスするつもりなの……っ!?




沸騰しそうなくらい体が熱くなる。




「何その反応、可愛すぎ」




「っ〜〜もう、聖那さ……っ」




聖那さんの追い討ちに思考回路が停止してしまう。




聖那さんの彼女になれてすごく嬉しいけど、これから毎日こうだと、私キャパオーバーですよ……っ




そして聖那さんは満足そうに、自分の教室へと去っていく。




ひとまず嵐は過ぎ去った……と思ったら。




その日の放課後、生徒会室で旧生徒会と新生徒会が集まった時。




牙央くんと瑠依先輩、2人同時に告白された。




牙央くんからは2回目。




「えっ、ちょっと、2人とも……!?告白する相手、私で合ってるっ?」




「前告白したし、キスもしたんだけどな」




「俺はその上書きしたけど?」




牙央くんはちょっと意識してたけど、瑠依先輩にはからかわれてるのかと……っ




「え、えっと……ごめんなさい!私には、好きな人がいて……」




「そ、俺のこと。な、ゆ〜う?」




オオカミの聖那さんが私を抱きしめながら言う。




「は、はいっ……」




2人とも、ごめんなさいっ。




そう思いながら2人を見ると。




「ま、そうだよな〜」




「予想通り」




え!?どうして……。




「お前顔に出すぎだから。コイツ見る時だけなんか違うんだよ」




「えっ」




「ずっと聖那のこと目で追ってるし、まさか自覚なかったの?」




「なっ……」




じゃ、じゃあ今までずっと気づかれてたの!?




うそでしょ……っ




最近、顔赤くなってばかりじゃない、私?




「まぁ2人が付き合ったところで諦める気なんかサラサラねぇし」




「そ。付き合ったからって安心してたら取っちゃうからね、聖那」




「チッ………」




2人は、私と聖那さんが付き合っていることなんか一切気にしていないみたいで。




「優羽、いつでも俺のところに来てくれていいんだからな?」




み、みんなやっぱり変だよ〜!




と驚かされてばかりの1日が終わった。




でもその翌日には私の好きなところを言い合うゲーム?なんてものが3人の中で始まっていて、




恥ずかしいからやめてっ……!




と逃げたくなるくらい愛されすぎてしまう日々が続き、気づけば春休みに突入していた。




そして今日、3月29日は、詩乃ちゃんたちとダブルデートをする日です!




1週間前に外出の申請を寮に出し、4人で遊園地に行こうと約束した。




詩乃ちゃんから花丘先輩と付き合ったって知らされた時は、すごくびっくりした。




実は2人は幼なじみで、片思いだと思っていたら両思いだったんだとか。




そんな2人と私たちでダブルデート。




それに、聖那さんとまだデートをしたことが無いから、実質聖那さんとの初デートにもなる。




楽しみだなっ、と心を踊らせる。




あっ、ちなみに今日は変装してないよ!




学園の門で詩乃ちゃんたちと会った時は、なぜか無言になられちゃった。




今まで騙してたのが許せないのかな、と事情説明をしながら謝ると、




「優羽、そうじゃないから安心して……」




って詩乃ちゃんが言いながら鼻血を垂らしていた。




やっぱり変装してなくても地味だよね、と少しショックを受けながら、遊園地までの移動の時間を過ごした。




それでもいざ遊園地の光景を目にすると、そんな思いはどこかに消え去った。




「とうちゃーくっ」




「おー、結構でかいな」




「優羽、足元気をつけて」




「あ、ありがとうございますっ」




足元を確認したあと顔を上げると、そこにはたくさんのアトラクションがあった。




私、遊園地なんていつぶりだろう?




最後におばさんたちに連れて行ってもらったのが中学校1年生のときだから……3年ぶりになるのかな。




今日はたくさん楽しもうっ!




15歳になってもまだ、遊園地へのワクワクは相変わらず健在だ。




「ねぇ優羽っ、あのジェットコースター
乗ろっ!」




「おい詩乃、小戸森さん連れ回して疲れさせんなよ?ごめんね、小戸森さん」




「いえっ、遊園地久しぶりで、今日は思いっきり楽しもうと思ってます!」




花丘先輩とは何回か詩乃ちゃんを交えて話したから、最初は怖かったけどもう普通に話せるようになった。




「聖那さんも、あれ乗りましょう!」




「え?あ、ああ」




2人で手を繋いでジェットコースターに乗る。




高いところから一気に落下して、詩乃ちゃんなんかずっと叫んでいた。




私も少し叫んだりして、終わるのがあっという間に感じられた。




「は〜楽しかった!」




「そうだねっ、すっごく楽しかった!」




でも、1つ問題なのが……




男子組が2人とも絶叫系に弱かったこと。




「ちょっとあれは、キツ……っ」




「もうっ、なんで乗る前に言わないの!」




「優羽も見た目に合わずいけるんだな……俺は、ちょっと……」




「聖那さんもっ、なんで今になって言うんですか!」




すると2人は口を揃えて言った。




「「俺の彼女が楽しそうだったから」」




その言葉に私と詩乃ちゃんは心を撃ち抜かれる。




心を負傷した者と精神を負傷した者、計4人の負傷者が誕生した。




「一旦あそこのカフェで休む?」




その詩乃ちゃんの提案にのり、カフェでそれぞれ飲み物を頼んだ。




聖那さんブラックコーヒー飲むんだ……




なんて思いながら立っていると。




「優羽、おいで」




聖那さんに膝の上に乗るよう促されたから、なんの疑問も持たず座ると詩乃ちゃんが。




「っ〜〜優羽かわいすぎるっ。今のちょこんって座ったのかわいすぎるっ!」




「ほら、優羽が可愛いから友達困ってるぞ?」




「え、えっ、どうすればいいんですかっ」




分からないからとりあえず聖那さんの膝から降りようとすると。




「だ〜め、離さない」




と言って腰に手を回しガードされた。




口には出さないけど、すごく嬉しかったから、




「は、離さないでください……っ」




と言ったら。




「っ……それ、無自覚でやってるのヤバすぎ」




「リアルに天使なんだけど……っ!」




無自覚とか天使とか、一体なんのことだろう?




と首を傾げていると、花丘先輩に




「気にしなくていいよ」




って言われたからスルーすることにした。




抹茶ラテを飲んでいると、聖那さんに




「っ離さないでとか……優羽ほんと俺のこと好きだな?」




と聞かれたので。




「はいっ」




と答えたら。




「っやっぱこんな人目のあるところ連れてくるんじゃなかった……耐えられそうにねぇ……っ」




「ちょっと神代先輩ずるいっ。優羽、私のこと好きっ?」




そんなの決まってる。




「うんっ、大好きだよっ」




「っ〜〜私もう死んでもいいっ!」




「だ、ダメだよ詩乃ちゃんっ」




私のたった1人の女の子の友達なんだからっ。




「ふふ、冗談だよ優羽」




そんなやり取りを交わしながら休憩を終え、ここからは詩乃ちゃんたちとは別れて聖那さんと行動することになった。




聖那さんと2人きり……ダブルデートじゃなかったら、こんな感じなのかな……?




と緊張する。




「なに優羽、緊張してんの?」




「っし、してませんっ」




「へえ?……あ、優羽ちょっとここで待ってて」




急にそんなことを言われるから、




なんだろう?




と気になりながらも待っていることにした。




すると。




「ねぇ君、めっちゃ可愛いね。俺タイプなんだけど」




「えっ……」




「1人なら俺らと遊ぼうよ」




男の人2人に声をかけられる。




う、うそでしょ………っ




「ひ、ひとりじゃ、ないので……っ」




そう言ってもその人たちは引いてくれなくて。




「えっ、声震えてんだけど。かわいい〜」




「もしかして彼氏と来てる?でもさ、今は1人でしょ?なら俺たちと行こ」




と手首を掴まれる。




その瞬間、心臓がドクンと大きな音を立てる。




い、いやだ……聖那さんっ!




そう心の中で叫ぶと。




「ってぇ!」




私の手首を掴んでいた男の人が、痛そうな声をあげる。




瞑っていた目を開くと、そこには聖那さんの姿が。




過去で1番と言っていいほど、聖那さんの瞳には怒りが映っていた。




「誰に手ぇ出してんだよ……あ、もしかして死にたいのか?」




「は、はあ?そんなわけ……っ」




「ならとっとと失せろ、2度とこの子には手を出すな」




「す、すみませんでしたっ」




「クソっ、なんなんだよ……っ」




そう言いながら2人は去っていった。




「せ、聖那さっ……怖かっ、たぁっ……」




泣きながら抱きつくと、




「この姿だし、1人にさせるわけにはいかなかったな。怖かったよな、1人にしてほんと悪かった……っ」




確かにすごく怖かったけど、聖那さんを責めたいわけじゃないから、安心させようと涙を拭う。




「っ……なに、しに行ってたんですか?」




何かを見つけてから走っていった気がしたから、その理由が気になっていた。




「ああ、これが見えたから……」




と聖那さんが差し出したのは、スミレの花のネックレスだった。




「わっ、かわいい!まさか、私のために……?」




「今もスミレ、好きだと思ったから」




「っ……はい!大好きですっ!」




改めて、聖那さんに惚れ直した瞬間だった。




「俺がつけてもいいか?」




「もちろんですっ」




その時聖那さんの手が触れた首の部分が、とても熱かった。




「似合ってる。あ〜もう、誰にも見られたくねぇ……」




「ふふ、遊園地でそれは無理ですよ」




「じゃ帰るか」




「えっ!?でもまだ他のアトラクション……」




「俺体調悪いの治ってなくて……ダメか?」




えっ、それは帰らないと!




でも、それが嘘だって分かったのは、寮に帰ってたくさんのキスをされた後だった──。




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4月8日、始業式の日。




私は、初めて素の姿で登校した。




でも、聖那さんと恋人繋ぎをしながらなのは相変わらず。




「おい誰だよ、あんな可愛い子いたかっ?」




「悔しいけどあの2人めっちゃお似合い!」




「転校生か?」




どうしよう、みんなから注目されてる……っ




私が不安になっていると、聖那さんが。




「俺の彼女で婚約者なんだから、堂々としとけ」




聖那さんの彼女で婚約者。




その言葉を聞いて、不安が一気に収まる。




「はいっ!」




「よし、それでいい」




そう言いながら頭を撫でてくれる。




その様子を見ていた女の子たちが、キャーー!と声をあげる。




幻聴かもしれないけど、男の人も声をあげている気もした。




そんな事を考えているからか、教室への道が普段の倍長く思えた。




教室に着いたのに、聖那さんが中々自分の教室に行かないな、と思っていると、聖那さんは教室の中を覗いて言った。




「俺の彼女で婚約者だから、惚れないでね?」




みんな聖那さんの笑顔にやられたのか、コクコク、とすぐに頷いた。




「っ……!聖那さんっ!」




「いやか?」




「………いやじゃ、ないです」




「ならいいだろ?これからはもっと、俺らが付き合ってるの見せつけてやろうな?」




「っは、い……」




「よし、いい子だ」




不敵な笑みで私を翻弄してくる彼。




たまに愛が乱暴になるけど、そんな彼から私は絶対に抜け出せない。




なぜなら、オオカミな彼によって、愛さずにはいられなくされてしまったから───。




愛が溢れる日々が、これからも続けばいいな。