裏表が激しい生徒会長に目をつけられてしまいました

久保田くんには可哀想だけど、私は副委員長が久保田くんで安心。

「改めてよろしく、朝比奈さん」

「うん、よろしくね」

久保田くんに差し出された手を握って、私は微笑んだ。

この人となら実行委員も頑張れるかもしれない、と思いながら。

        +  +  +

「文化祭で行う出し物を決めていきたいんですが————」

私の言葉は最後まで発せられず、誰にも拾われないまま埋もれる。

「ねえねえ、放課後どこいくー?」

「部活だりぃー」

「早く帰ろーよー」

うーん、やっぱりこの仕事やめたい。

私に向いてない、絶対。

あれから一週間後、私は早速黒板の前に立っている。

原因は会長。

会長はもっと早くに決めておかなければならなかったクラスの出し物を書いたプリントの提出期限を書き忘れ、さらに期限が明日までだと言うことがさっき知らされ、そしてさらに私のクラスだけ提出できていなかっため、急遽学活を行なっている。

まあ、私が逆の立場でもまともに話を聞いてなかっただろうけど……。

さて、どうやって話を進めよう。

学活の時間は三十分。

もうすでに十分無駄にしてしまっているため、早く話を進めないと絶対に間に合わない。

「失礼しまーす」

え?

そんな時、突然教室のドアが開いて、陽気な声が教室に響き渡る。

「っ、会長よ!」

「ほんとだ!」

そう、突然教室にやってきたのは会長だった。

会長は教室を一周見渡してから、私の方へ視線を向ける。

「どう?朝比奈さん、出し物は決まった?」

やっぱりぶれることない会長の王子様スマイル。

「……いえ、まだですけど……」

あまり目を合わせないようにしながらそう言うと、笑顔を一瞬だけ崩して一言だけ、

「そっか」

と呟く。

うっ……さっさと終わらせろ、って顔してる……。

私にしか見えない角度だからって、怖い顔して優しい声を出されると流石に鳥肌が……。

「ちなみに、このクラスでやりたいこととか決まってる?」