裏表が激しい生徒会長に目をつけられてしまいました

まあでも、会長、顔はいいけど中身がアレだからなぁ……夢を見てる女の子たちが可哀想……。

「お前、今失礼なこと考えただろ?」

人気が少なくなったところで、会長にガンを飛ばされて首をブンブン振る。

……これからは会長がいないところで失礼なことを考えよう。

なんて思った私は悪い子?

        +  +  +

結果、私は悪い子だったみたいです。

なぜなら……。

「じゃあ、文化祭実行委員長の朝比奈さん、副委員長は久保田くんでお願いします」

ぱちぱちぱち

生徒会役員の少し力強い拍手が聞こえてきて、実感する。

ここにいる全員、この役職に就きたくなかったんだろうな……。と。

でも、今回のこれはどうあがいても私になってたよね……。

会議が始まってからずっと向けられていた会長の眼差しを思い出すだけで鳥肌が……。

「……さん、朝比奈さん」

「え?」

ようやくかけられていた声に気がついて、私は慌て隣を見る。

そこには、私と同じく為す術なく文化祭実行委員副委員長になってしまった久保田稔くんがいた。

「あ、ごめんね朝比奈さん。僕、久保田。挨拶をしておこうと思って」

そう言って柔らかく微笑む久保田くんに、少しだけ癒されてから、同じように挨拶を返す。

「お互いに災難だね、こんな役職に就いちゃって」

ホワホワとした雰囲気でそう話し始める久保田くん。

……生徒会にこんな人いたんだ。

と、失礼なことを考えてしまったことはさておき、副委員長が久保田くんだったことに安心した。

生徒会にはびっくりするくらいキャラの濃い人たちがいる。

まず、裏表のある会長。

そんな会長の正体を知っていても会長と変わらず仲がいい書記。

厨二病っぽい会計。

その他いろいろ。

その中でも久保田くんはとても珍しい普通の、ごくごくごくごく普通の男の子だ。