裏表が激しい生徒会長に目をつけられてしまいました

人間は誰しも笑う場面はあるだろうけど、千秋くんは学校では王子様キャラだし、周りに人がいない時は俺様キャラだしで、こんなふうに笑うところは初めて見た。

「千秋くん、普段もそんなふうにしてたらいいのに」

つい思ったことをそのままそう言うと、千秋くんは笑うのをやめて、真顔に戻ってしまった。

「……別にいいだろ。映画館、こっちだから」

「あ、うん……」

言わない方が良かったかな……?

先に一人で歩いて行ってしまった千秋くんの後ろ姿を見つめながら、私は少し後悔した。