裏表が激しい生徒会長に目をつけられてしまいました

……え?

この声って……。

恐る恐る柱から覗いてみると、暴言を吐いていた男の人——生徒会長が手紙のような物をくしゃっと丸めているところだった。

そばにいるのは生徒会書記の武田くんだろう。

「まあまあ、そんなに嫌なら断ればいいのに」

「そうすると次は『千秋くんの意地悪!』が始まるんだろ?それよりはマシだ」

「そうか?そんな感じには見えないけどな」

ニヤニヤと笑いながらそう言う武田くんに、会長は鋭い目を向けている。

……いつもの王子様スマイルはどこへ……。

……ま、あの笑顔はちょっと苦手だからいいけど。

カランッ

「っ、誰かいるのか!?」

普段の感じからは想像できない会長の姿にビックリして、足元にあった空き缶を蹴飛ばしてしまう。

もうっ!

なんであんなところに空き缶があるの⁉︎

慌てて身を隠したけど、反応が遅れてしまったから見られていたかもしれない。

はぁ……変に絡まれなければいいけど……。

         +   +   +

というのが昨日の出来事。

私の願いは儚く散り、こうして壁ドンで迫られているわけだが……。