そして見事、このイケメン偽優男はその劇の主役に場適されたとか。

「詳しいことは言えないが、俺は王子役だ。……クソな性格の」

「性格がクソな王様が主役なんだ……千秋くんにぴったりだね」

「なんでだ。俺以上に優しい男は他にいないぞ」

大真面目な顔でそういうものだから、つい吹き出してしまう。

「じゃあ私、ペンキを取りに行かないとだから、行くね」

そろそろ戻らないと準備に支障が出ちゃうかもしれないからね。

ヒラっと手を振ると、彼は予想外の言葉を発してきた。

「ああ。……頑張れよ」

「え、う、うん……」

「じゃ、じゃあなっ!」

今、頑張れって言った……。

あの、あの千秋くんが……頑張れって……。

……ふふっ。

         +  +  +

パンッ——パンッ———