裏表が激しい生徒会長に目をつけられてしまいました

そして見事、このイケメン偽優男はその劇の主役に場適されたとか。

「詳しいことは言えないが、俺は王子役だ。……クソな性格の」

「性格がクソな王様が主役なんだ……千秋くんにぴったりだね」

「なんでだ。俺以上に優しい男は他にいないぞ」

大真面目な顔でそういうものだから、つい吹き出してしまう。

「じゃあ私、ペンキを取りに行かないとだから、行くね」

そろそろ戻らないと準備に支障が出ちゃうかもしれないからね。

ヒラっと手を振ると、彼は予想外の言葉を発してきた。

「ああ。……頑張れよ」

「え、う、うん……」

「じゃ、じゃあなっ!」

今、頑張れって言った……。

あの、あの千秋くんが……頑張れって……。

……ふふっ。

         +  +  +

パンッ——パンッ———

その音と同時に、校門から他校の生徒、保護者が入ってくる。

今日は待ちに待った文化祭。

うちの高校は学校行事一つ一つを結構大事にしていて、どのクラスも生き生きとした表情でお客さんを呼んでいる。

「いらっしゃいませー!ここでは迷路を行っています!」

「メイドカフェはいかがですか♡」

「お化け屋敷でーす、寄っていきませんかぁー?」

可愛らしい衣装で身を包んでいる女の子たちや、おそらく自作の少し不恰好なおばけの格好をしている男の子。

他にもかっこいい衣装や、クラスでお揃いのTシャツを着ているクラスがある。

そんな中、私たちのクラスは……。

「ご注文はお決まりですかにゃん?」

「あのさ、この店のメニュー表、どうにかなんないの?」

「すみませんお客様、当店はワンニャンカフェということで、ワンちゃん、ネコちゃんの視点でメニューを考えさせてもらってますにゃん」

「……実の姉貴のにゃん聞くの辛い……」

「黙れだにゃん♡」

顔だけ笑顔でそう言うと、お客様もとい、私の弟、ほたるが辛そうにこめかみを抑えた。

こっちだって好きでやってるわけじゃないのに……。