「ありがとうございます……」
 全身がホコホコとあたたかい。
 甘酒のやさしい風味と、小鳥遊(たかなし)部長の思いやりが合わさって、じんわりと涙ぐみそうになる。

「あー、部長。あさみんにばっかずるーい! あたしたちにも甘酒おごって!」
 わたしたちのやりとりを見てた演劇部のみんなが、ワラワラと近くに集まってきた。
 部長は少し大げさに眉をつり上げて。
「ずるいとか言うな。あさみんは、これから大事なオーディションに挑もうとしてんだ。キミらも、なにかイベント迎えるときにはおごってやるから」
 そんな部長の言葉に、演劇部のみんなはワッ! とわき立つ。
「ホントにー!? じゃあ、あたしのときにはカフェオレおごってくださいね!」
「そんじゃオレんときにはテリヤキバーガーセットお願いします」
「わたしのとき、わたしのとき! 焼肉フルコースがいいな~♪」
「だんだん金額エスカレートしてんじゃねーか。調子のんな!」
 いつになくキレた部長を見て、みんな大笑い。
 わたしも思わずふき出しちゃった。

 いい部活に入ってよかったな。
 オーディションまで残り一週間。
 みんなにいい報告ができるように。
 部長に、これまでの感謝と気持ちを伝えられるように。
 わたし、精いっぱいがんばるね!