どうか、どうかお願いします!
 この願い、ぜったいに、かなえてください!
 しっかりと神前に手を合わせ、目を開けると、はあっ、と大きなため息がもれた。

「すっげぇ気合い入ってんな、あさみん」
 わたしのとなりにいる小鳥遊(たかなし)部長が、若干引き気味にわたしを見下ろした。
「だって、この神社、とってもご利益があるって有名なんですよ!」
 
 わたし、朝見(あさみ)ひなは、所属してる演劇部のみんなといっしょに、正月早々みんなで市内の神社に初詣にやってきたの。
 
 今年こそ、県大会優勝!
 もう少しセットを上手く作れるようになりたい!
 男子部員が増えてほしい!
 部員のみんながいろんなことをお願いするなか。
 わたしにも、どうしてもかなえたいことがあった。

「あさみん、ずーっとがんばってたもんな。Webアニメのオーディションにむけて」
 あっさり小鳥遊(たかなし)部長に胸の内を言い当てられて、思わず顔が熱くなる。
 そう。それも、もちろんがんばってるんだけど。
 この願いには続きがあって。

 もしも、このオーディションに合格したら、そのときには。
 わたし、小鳥遊(たかなし)部長に、好きですって告白するつもりなんだ。