僕に似合わぬ、おとぎの国で

「おいお前、そこに突っ立ってる方」

「なんでしょうか、ユウ様」

「変なことを聞くようだが、ユウ・ブルーローズについて詳しく話を聞かせてくれないか」

「記憶喪失ですか?」

「仕方がないだろう、僕は本物のユウ・ブルーローズではないのだから。目が覚めたら先程の森に倒れていて、気がついたら一国の王子だなんだと言われたんだから」

「だとしたら、本物のユウ様はどちらへ?」

「そんなの知ったことか。僕は一刻も早く元の世界へ帰りたい。人を待たせている」

僕はこの世界に来る前、ある男と待ち合わせの約束をしていた。

その男とは幼い頃からの腐れ縁で、何度喧嘩しても暇さえあれば一緒に食事をしたり買い物に出かけたりしていた。

「ユウ様、チカ様がお見えになりました」

「あぁ、通してくれ」

チカとは一切面識がないが、とりあえず会うだけ会っておこう。

僕が元の世界に戻るための方法を知っているかもしれないしね。

「久しいな、ユウ」

「お、まえ…なんでここに…?」

「なんだ? 人を化け物みたいに」

「お前、名前は?」