僕に似合わぬ、おとぎの国で

「何はともあれ、急いでお城に戻りましょう。まもなくチカ様が到着されますよ」

僕の返答を聞くこともなく、あれよあれよという間に城の前に着いてしまった。

「ユウ様急いでください。そんな格好ではチカ様に笑われてしまいますよ」

「僕はまだチカに会うとは一言も言っていない。とりあえず部屋に案内してくれ」

「お部屋はこちらです。時間がないのでお急ぎください」

たかが幼馴染に会うくらいでそんなに急かさなくてもいいのではないだろうか。

部屋に戻ると普段僕が着ないような、豪華な軍服のようなものが置いてあった。

「ユウ様、お支度は整いましたか?」

「これを僕に着ろと?」

「それ以外に何があるのですか。これは最近のユウ様のお気に入りではないですか」

僕の発言がいつもと違うのか、付き人は怪訝そうな顔をしながらそう言った。

怪しまれないように今はユウになりきるのが正解なんだろうけど、僕もまだこの世界に馴染みきれていない。この付き人の名前も知らなければ、ユウという男の人物像も分からないのだから。