僕に似合わぬ、おとぎの国で

「くそ…ここは一体どこなんだ?」

さっきまで自分がいたはずの見慣れた景色から一変、目の前に広がる自分よりも断然背が高いきのこたちに僕は絶望していた。

そもそも、こんなに大きなきのこなんて美味しくなさそうだよね、なんて呑気に考えているが何が起こったのか理解が追いつかないのも事実。

僕ってピンチが起きたら意外と冷静なタイプなのかも、と自己分析をしていたところで誰かに肩を叩かれてハッとする。

「まったく、探しましたよ。私がどれだけ探したか王子には見当もつかないんでしょうね」

「誰だ、お前は」

「寝ぼけているのですか? それとも、私をからかっているのですか?」

僕の目の前にいる彼は、綺麗な緑色の髪の毛をガシガシと掻きながらそう言った。

誰なのか、と尋ねるのは仕方ないだろう。僕の人生において一度も出会ったことがない人から"王子"などと呼ばれ、なぜか呆れられているのだから。

「とにかくお城に戻りましょう。王子がいないと大変な騒ぎですから」

「僕は王子なんかじゃない。それよりも、ここはどこだ? 元いた場所に戻りたいんだけど」

「はぁ…? あなたは正真正銘この国の王子ですよ。それに今日は幼馴染であるチカ様がいらっしゃる日ではないですか」

「チカ? 誰だそれは。それに、ここは一体どこなんだ?」

「いい加減になさってください。ここは西の外れにある島国、ブルーローズです。あなたはこのお国の第一王子である、ユウ・ブルーローズ様です」

本当に意味が分からない。頼むから、夢なら今すぐに覚めてくれ。