あの子と私

「そうね。もう何年も家族で出掛けてないものね。家で勉強ばかりだし…。いいわ、お母さんが今度調べて良い所を探しておくわ」

「うん」

「それより貴方、どうしたの?急に」


母親がそう尋ねると、父親は少しだけ寂しそうな顔をして答えた。


「なんとなく…だよ。いつまでもこのままって事は生きている以上あり得ないからね。これから又、苦労を掛けるかもしれないしね」

「家族だもの。一緒に苦労するのは当然よ」

「ああ。その時は頼むな」


お父さん…急に改まってどうしたんだろう?


変なの。



久し振りに食卓に穏やかな空気が流れる。


「アリスは勉強の方はどうだ?」



私……?

私は思わず笑みを溢し、父親に答える。


「頑張ってるよ。もうずっと学年で一番なんだ」

「そうか。今の内に勉強を頑張って、いい大学に行って、いい会社に就職するんだぞ。何だかんだ言っても学歴の社会だからな」

「うん!私、もっと頑張る」


そんな私と父親の会話を聞きながら、母親は穏やかな、満たされた表情をして言った。


「アリスは私達の子供だもの。先生方からの評判もいいもよ。交友関係も問題ないって」