あの子と私

「アリスー。お父さんが帰ったわよー」

「うん」


進んでいた手を止めて、私は食卓へと急ぐ。

髪の毛……。

お父さん昨日見てないけど、何か言われる?

急に緊張してきて、頭を何度も何度も撫でる。

そして食卓に着くと父親はもう座っていて、私は手を洗い下を向いたまま自分の席に座る。

……何て言われる?


そっと顔を上げて父親を見ると、父親が口を開いた。


「下ばかりを向いてどうした?体調でも悪いのか?」

「…ううん」

「さぁ、みんな揃ったし、ご飯にしましょうか?」


テーブルの上に料理が並べられる。

ご飯を口にしながら、私はドキドキが止まらない。

お母さんは凄く残念そうだったけど、お父さんは何て言うだろう?

ポツリポツリとキャッチボールされる会話は、私の髪型には触れられなくてモヤモヤした。


「そうそう。アリスったらね、友達が美容師になりたいからって、カットモデルをしたのよ。前の方が良かったわよね?」


急に振られて心臓が壊れそうなくらい、激しく動く。

でも父親は言った。


「そうか?別に違和感は感じなかったし、前と余り変わらないんじゃないのか?