あの子と私

クラスがザワザワして、先生は慌てて言った。


「川野、予習もいいけど、ちゃんと授業も聞くんだぞ。座っていいぞ」

「…すみません」


私はそう言って座ると、トモの方を見る。

トモが今どんな顔をしているのか分からないけど、笑って軽く頭を下げた。

そして授業は先生の声だけ聞いて、大事そうな所をノートに書いていく。

時間が経てば経つ程、髪形の恥ずかしさは消え、少しずつ上を向いた。

そして全ての授業が終わった時だった。


「川野さんバイバイ」


え…?


「髪形似合ってるよ」

「あ、ありがとう」



嬉しい。

水野さんが話しかけてくれて、そんな風に言ってくれるなんて。


「ちょ、ユッコ行こうよ!」


賀川さんが小さな声で水野さんを呼んだ。


「川野さんバイバイ」

「…バイバイ」



二人がどんな顔をしているのか分からないけど、もしかしたら水野さんと友達になれるかもしれない。

私はさっきの会話の余韻に浸るように、ドアの方をボンヤリと眺める。