あの子と私

こんな体験初めてなんだ。

女の子とでさえ、こんな風に一緒に海に行った事なんてないのに……。

そして海に着くとヨシとトモは私の腕を離し、靴と靴下を脱ぎ捨てて砂浜の上を走り、海辺へと向かう。


「アリスも来なよー!」


ヨシの声に私は照れ笑いをして頷き、ゆっくりと海辺に向かって歩く。

太陽は熱く照り付けるのに、潮風が少しだけ冷たくて気持ちいい。


両親の喧嘩も


勉強の事も


万引きの事も


全てを忘れられそうな気がした。


水遊びを始めた二人に私は聞く。


「海の水、冷たい?」

「大丈夫だよ」


足だけならいいよね?

私も靴と靴下を脱ぎ、膝より少し長めの制服のスカートを少しだけ持ち上げ、少しずつ海の中に入る。

海の水が冷たくて気持ちいい。

潮風もいい匂い。


「アリス」

「え?」


ヨシの声に振り返ると、顔に何かが掛かった。


……何?

しょっぱい味がする。



海水をかけられた?

そしてその状況を見ていたトモが笑いながら私に言う。


「アリス、凄い顔してないで、もっと弾けろよ!」


でも……。

びしょ濡れで帰ったら、お母さんに怒られるに決まってる。