あの子と私

「気にすんなよ。アイツんち金持ちでさ、小遣い月に5万も貰ってんだぜ?」


5万……。


「はい、切符。海、久し振りなんだ。早く行こうよ?」


広瀬に切符を渡され、三人で改札を抜けると電車に乗る。
そして相川と広瀬が並んで座り、向き合って私が座ると広瀬が言った。


「思ったんだけどさ、川野さんって下の名前何て言うの?」


”アリス”なんてかわいい名前、私には似合わないって思うに決まってる。


「アリス…」

「へぇー、アリスっていうんだ?可愛い名前だね。よく似合ってるよ。今からアリスって呼んでいい?」


似合ってる……?
予想外の言葉に顔が熱くなる。


「でも…」

「いーじゃん。俺は由輝だから”ヨシ”って呼んで。コイツは智哉だから”トモ”ね」


そんな事言われても……。

私は今まで男の子を苗字以外で呼んだことなんてないんだ。


「じゃー今からアリス、トモ、ヨシ以外の呼び方で呼んだら100円罰金!」

「…相川くんまで」


私がそう言うと、ヨシは嬉しそうな顔をして言った。


「はい、アリス。罰金だよ。トモに払って」


私が渋々制服のポケットから100円を出していると、トモが私に言った。