「まあ、そいつ、タチ悪くて。

『マンガのことばらされたくなかったら俺と寝ろ』
とか…言い出し、て……
襲われそうになって……

ま、まあ、逃げたけど!」


…なんで今、一瞬……
顔が曇ったの?

そしてなんで…

つくったような元気、見せたの?


「襲われそうになったのが、学校の中で…。
で、ベタな感じで、その彼女に見られて」


口元だけ少し上げて、
決して僕と目を合わせようとしない片山さんは、
どこかとても寂しげに見えた。


…違うか。

「見える」んじゃなくて、
「そう」なんだよね。



「そっからはもう…
いじめられ人生、てゆうか…。

こっちに引っ越してくるときは、もうあんな思いしたくなかったから…

友達ひとりもつくんなかった」